痛み症状の治療を専門としている、ペインクリニックでは長引く慢性的な痛みの治療にうつ病の治療薬である「抗うつ薬」を処方する事があります
私は「うつ病」ではないのにペインクリニックで「抗うつ薬」を処方された！
「何で？」
と思われるかもしません
どうやら抗うつ薬に痛みを抑える作用があることが
最近の研究でわかってきています
特に
- 三環系の抗うつ薬（トリプタノール® ノリトレン®など）
- SNRI [selective serotonin noradrenaline reuptake inhibitor] (サインバルタ®など)
は神経障害に伴う痛みに効果があると報告されています
帯状疱疹後神経痛をはじめとする神経の障害による痛みに処方する事が多いです
薬理学的には神経系に作用して
- セロトニン、ノルアドレナリンの再取り込み阻害作用
- αアドレナリン受容体、H1ヒスタミン受容体、コリン受容体等のブロック作用
- イオンチャンネルブロック作用（ナトリウム カルシウムなど）
など様々な作用を介して、痛みの伝達を抑制します
注意が必要なのは
- 痛みが50%以下になる方は2-3人に1人位であること
- 効果の発現に時間がかかること
- 眠気や口の渇きなどの副作用があること
- 日本では適応外使用であること
さかうえクリニックでは
患者さんの痛みの訴え、年齢、併存症にあわせて最適な治療薬を選択しています
臨床現場でもたくさん使われているのなら添付文書に
の適応を追加すれば良いじゃないかと言われる場合もあるのですが、
抗うつ薬を
慢性疼痛や
神経障害性疼痛への適応症を広げるには、
臨床治験をやり直したり役所への申請など莫大な手間暇と費用がかかるので製薬会社がやりたがらないと言う事情があるのです
参考文献
Antidepressants in the treatment of Neuropathic pain, Sindrup SH et al, Basic clinical pharmacology and toxicology, 96:399-409, 2005
